閉じる

-BLOG-
工芸品撮影録

2025/07/02

工芸品撮影に欠かせないbroncolorのストロボ

CRAPHTOで行う超高精細撮影は複数回シャッターを切るマルチショットと呼ばれる撮影手法を使い、複数の画像を合成して超高精細画像を得ています。ストロボによる瞬間光でライティングを行いますが、複数回においてストロボが発光しますので、それぞれの光の質に変化があるとうまく合成することができません。そのようなシビアな撮影においてbroncolor(ブロンカラー)のストロボが活躍してくれます。

broncolorはスイスの高級ストロボブランドで、日本ではアガイ商事(株)さんが販売代理店を長らく務められています。コマーシャルフォトの現場では限られた時間や環境下で確実に仕事をこなす必要があり、broncolorのストロボはその品質の高さから一流の国内外のプロカメラマンから支持されています。

 

物撮りでbroncolorのストロボを使うメリット

 

broncolor製品の特徴は美しい光の質(正確な色表現のできる演色性の高さ)や早い閃光速度(瞬間で人や水を止めることができる)が挙げられます。モデル撮影などのコマーシャルの現場で使われているイメージがありますが、CRAPHTOはストロボとしての信頼性を重視してbroncolorを使用しています。それは長時間にわたり繰り返し発光させても高品質の光を確実に被写体に与え続けることができる、当たり前のようで他のストロボでは難しい基本的な能力です。

CRAPHTOでは工芸品、美術品を長時間にわたって撮影し続ける必要がありますが、broncolorを採用している理由を紹介します。

 

1.色温度を一定にキープしてポストプロダクションを効率化

例えばカタログを作成するために複数の被写体を撮影するとします。商品カタログは写真が左右上下に並びますから、被写体ごとに背景が違うと目につきます。

カタログは多くが背景が白や明るいグレーに設定しますが、参考までに某工芸展の図録を見てみましょう。

こちらは着物と器のページ、背景はグレーですが、アイテムごとに微妙に濃淡が異なってみえます。紙印刷ではまだ許容範囲かもしれませんが、これがデジタルカタログとなるとさらに目立ってきます。背景色を確実に揃えるとなると背景を常に同じ出力、色温度で発光させて調整する必要があります。撮影後に被写体だけ切り抜いて背景のトーンを揃えることもできますが、数量が多いとそれこそ膨大な手間が生じますので撮影時に合わせておくのがベストなのです。

被写体の性質や色によってストロボの出力を変更する必要がありますが、それで色温度が変わってしまうのは困ったものです。例えば他メーカーのストロボの場合、長時間使用していると色温度がばらついたり、発光ごとに微妙に色温度や閃光速度が変わってしまうことがあります。さらに通常のストロボは出力を変えると色温度も変化しますが、broncolorのストロボはECTC(高精度色温度調整)機能を持っていて、出力を変化させても色温度が一定に保たれます。

今時ホワイトバランスはカメラ側や撮影後の編集で簡単に変更することができますので、個人がプライベートで撮影を楽しむ分にはあまり重要な機能ではないのかもしれません。しかし仕事の現場において大量の撮影をこなし、品質、速さが求めるとなるとこの機能が必須となってきます。常に一定の出力、色温度をキープしてくれることで、後処理(ポストプロダクション)を大幅に効率化してくれます。

 

2.多灯ライティング時の安定性

複数のストロボを使う際、その全ての出力が一定とは限りません。ストロボによって出力を数段違いで設定する場合、仮に色温度が500Kずれると色味がそれなりに変わってきます。そうなればミックス光の状態になり、撮影後に補正をする必要があります。各灯体において一旦設定して問題なかったとしても、出力調整をしているうちに図らずしも微妙に色温度の変化が現れることもあります。broncolorの場合は出力変更による色温度変化を気にする必要がありません。多灯ライティングの際にもストロボの出力を好きなだけ変更して、撮影に集中することができます。

また多灯ライティングの場合、一灯だけ不発光となってしまうケースが稀に発生します。例えば10灯のストロボを使う場合にメインライト以外の一灯が実は不発光となっていて気づかない場合があります。昔のように予算が潤沢でアシスタントが不発を監視していた時代と違いワンオペ対応も求められる現在、安定して確実に発光してくれる安心感は心強いものです。100カット撮影して1カット不発光に気づかず別日に再撮影などという無駄を省くためにも、安定して確実に発光してくれるbroncolorのストロボは必須なのです。

さらにCRAPHTOではマルチショットで撮影を行いますので、そこでも安定した出力での発光が必要になってきます。CRAPHTOで超高精細画像を撮影するHasselbladのマルチショットカメラは6回の露光を行った後、6枚の画像から合成を行います。このうち1枚でも光量が不安定だと合成エラーが発生してしまいます。

例えばマルチショットの撮影でストロボを6灯使っていたとするとそれぞれが6回、合計36回にわたって発光することになります。確実に6灯がシンクロして同時発光しないといけませんし、合計36回に一回でも出力、色温度に狂いがあれば画質に影響を与えます。Hasselbladはまだ6回で済みますがカメラメーカーによっては16回、32回など大量にシャッターを切ることがありますし、ストロボの精度は相当高品質なものが求められるでしょう。

さらに通常のストロボ光は閃光時間のうち全てが同じ質の光を放つわけではありません。broncolorは独自のカットオフ技術で矩形に近い光を放ち、多灯であっても全ての灯体が同じタイミングで均質な光を与えてくれます。broncolorのストロボはこのような特殊なケースでも安心して連続使用をすることが可能なのです。

 

3.長期間利用しても壊れない耐久性、安心のサポート体制

broncolor製品は他の製品に比べて非常に高額と言われます。ある程度の設備投資をしてもすぐに元がとれた時代と違い、この不況でカメラより高額なストロボにまとまった投資できるのは一部のトッププロのみとなってしまいました。

ストロボは昨今のデジタルカメラとは違いフラッシュチューブやモデリングランプといった消耗部品を交換すれば長きにわたって使用することができます。10年、20年選手は当たり前で部品が供給されている限り安心して使い続けることができるのです。broncolorの場合は古い機種でも修理対応が可能でなんと40年前の機種であっても修理対応可能なケースがあります。欧州メーカー全般に言えますが、一律の期日でサポートを打ち切るのではなく、部品在庫が払拭するレベルまでできるだけ修理、サポートを続けるというポリシーが見られます。

これが他メーカー、廉価品の場合は数年で壊れる可能性もありますし、壊れたら買い替える前提で物作り、値付けがされています。仮に修理ができたとしてもサポートや部品の供給体制に疑問符がつきます。ここ数年で勃興してきたメーカーが10年、20年後に健在とは限らず、ストロボメーカーの老舗であるbroncolorは大きな安心感があります。さらに日本国内ではアガイ商事(株)が代理店を務め、修理体制や代替え機貸し出しなどのしっかりとしたサポート体制がとられています。

そしてbroncolorのストロボは本当に壊れません。不測の事態に備えてもちろん予備のストロボは準備してありますが、CRAPHTOの現場では一度もエラーが出たことがありません。WiFiの接続エラーが稀に出るくらいで、被写体に高品質で必要な光量を届けるというストロボに課せられた使命を裏切ることがありません。

 

たまに30年物などが機材屋等からレンタル落ち品として販売されています。それらは現場ではかなりラフに使われていますし、輸送ダメージや落下事故もあったことでしょう。それにも関わらず問題なく使えるのがbroncolorの恐るべき耐久性、修理継続性を示しているのではないでしょうか。

このように電気的、物理的に耐久性の高い機械というのはもちろん、いつまでも修理が可能な体制がとられている総合的な「耐久性」が強みとなっています。

 

事業投資として考えれば高い投資ではないbroncolor製品

例えばCRAPHTOで使用しているモノブロックタイプのSiros(シロス)800Sは30万円以上するのに対し、中国製のGodox(ゴドックス)のプロ向けハイエンドモデルAD600ProⅡは半額以下で手に入れることができます。2023年に登場した新型のジェネレータータイプのSatos(サトス)3200に至っては本体とPalsoLヘッド1灯で400万円を超えてきます。同じくGodoxのジェネレーターP2400とヘッドH2400Pは100万円以内で導入できますから、その価格差は大きいです。特に物撮りの場合はストロボは複数灯を揃える必要がありますので価格差はさらに開きます。

新世代のジェネレーター(satos)とヘッド(palsoL)、バッテリー駆動に対応してロケにも使えるようになった。

しかしストロボは電気部品の塊ですが、カメラと比較して非常に陳腐化の遅い製品です。長期間使うことを前提にして事業年度で割り出せば、決して高い投資ではありません。ストロボ機材に500万円投資する場合、仮に15年使うことを目安にすると33万円/年ですし、月単位だとそれこそ3万円以下になります。駆け出しの個人カメラマンだと最初は辛いかもしれませんが、ライティングにおける最高到達点の基準を自分の中に落とし込めるだけで、作品クオリティを高めることができます。一流のプロを目指すのであれば長い目で見るとその割安感がわかると思います。

CRAPHTOでも多数使用しているモノブロックのSiros(シロス)、バッテリータイプも存在する。

近年はカメラの実用感度が上がり大光量を必要としない分、小型のモノブロックタイプでも十分に仕事をこなせるようになりました。ジェネレータータイプはそれこそ百万単位の投資が必要になりますが、モノブロック(Siros)であればその敷居はぐんと下がります。アプリコントロールにより多機能動作もこなすことができ、ジェネと同等の働きをしてくれます。まとまった投資が難しい場合はまずはSirosの2灯キットから始めてみてはいかがでしょうか。

※弊社はbroncolorから一切の経済的利益を受けていませんし、アフィリエイト等も行なっておりません

 

broncolorがもたらす最高の工芸品撮影

CRAPHTOでは最高の技術で作られた工芸作品、美術作品は最高の機材、技術で撮影しなければならないと考えています。撮影は光、ライティングが全てといって過言ではありません。いかにカメラが優れていてもライティングが稚拙ならその作品の魅力や特徴は伝わりきらないことでしょう。目で見る以上に魅力的に作品を見せるイメージカット、実際の見たままの色を忠実に再現するアーカイブ性の高い撮影、異なる目的ではありますが両方において共に高い光の質が求められます。

broncolorは最高品質の光を提供してくれますが、コマーシャルの中心である東京近辺のスタジオでしか見かけないのが現状です。レンタルも一部の東京の機材屋さんの扱いというだけですし、美術品撮影を謳うスタジオにおいても導入が進んでいないのが実情です。特にCRAPHTOが拠点を置く京都、関西においてはレンタル体制もありませんし、導入しているスタジオはごく一部です。

※CRAPHTOのハウススタジオ「玄想庵」では一定の条件下でレンタル対応も行っております。

CRAPHTOでは一流の工芸品、美術品には最高のライティング、撮影技術で応えたい思いで最高級ストロボのbroncolorを導入しています。作り手の想いに寄り添った最高の撮影を提供させていただきます。

 

 

営業時間:8:30~17:30 (定休日:土日祝) 075-351-1414
CONTACT